「くだらないものがわたしたちを救ってくれる(柏書房)」という本を読んだ。
線虫を使った遺伝子解析を専門に研究している韓国の研究者の書いたポピュラーサイエンス本だ。科学研究をしている人の日常がありのままに文章にされており、難しい科学の話は詳細に語られないぶん、読み物として面白い本だった。
私自身、大学で修士課程まで進んで研究者として就職をしたので、エピソードがどれも等身大に感じられた。研究生活の描写もすごく覚えがある。どうやら、韓国の研究事情は今の日本と似ているみたいだ。研究予算に対する苦言だったり博士号所持者のポスト問題だったりと、国内でもよく耳にする内容が語られている。
- 試験期間中に漫画を読んでいると怒られるから誤魔化しのために科学の本を読んだ
- 1日14時間を研究室で過ごす
- 大学院生=実験奴隷という自嘲
- 研究予算を渋られる際の言い草
本書で軽く触れられていたこれらの内容は、身に覚えがありすぎる話ばかりだ。研究やってる人はみんな同じような感じなんだろうな、と思う。
しかし、著者と私は1才しか違わないのに、研究実績だけでなく、これだけ面白い文章で書籍を出しているとは。純粋にいう少し嫉妬してしまう。
今月読了したはこれで6冊目になる。読みたい本は山ほど溜まっているのにまるで消化できている気がしない。